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寮から病院に行く通りに葬儀屋さんがあります。別にその前を通らなくても病院に行くことは出来るのですが、何となく道が近いのでよく利用します。
で、よく見かけるのが、看板。
通夜とか告別式の前夜から道に飾られている、あの看板です。○○家とか書かれているやつ。
その看板がやはり葬儀場が近い所為かよく見かけます。はい。
で、昨日の話になるのですが。
昨日は準夜だったので昼過ぎに家を出たわけですね。のんびりのんびり自転車をこいで行くわけですよ。最近暖かくなったなぁ、とか、今夜は患者さん落ち着いているといいなぁ、とか。思うことはもろもろです。
のんびりのんびり自転車をこいでると、まぁ、いつもの看板が目に入ったわけですね。病院の近くのこともあって、患者さんが亡くなるとよく利用している気もします。その所為か、看板のお名前を見てしまうのが癖になっているんですね。多分。
何気なくその看板の名前を眺めてみる。
○×様。
その名前にふと病棟の○×さんを思い出す。まぁ、ありがちな苗字だったので別の人だろうと、勝手に思う。まぁ、それもそれ。先日PEG(胃廔)増設のオペをしたばかりだし、前日見たときはそれなりに元気だった。
「もうちょっとして落ち着いたら家なり施設なり帰るのかな~」
なんて、暢気に思っていた。
そのまま病院へ。
白衣に着替えて、時間までお茶飲んで。
そしていざ仕事…と、ナースステーションの前にある病室の空白に首を傾げる。
あ、◇◇さん、すてっちゃったのかな、と思う。
ステル、というのは「亡くなる」という意味なのですが、正式には、ステルベン、というそうです。ドイツ語だっけな? で、それが短縮されて、すてった、とかステル、とウチの病棟では言われている。
とりあえず入職当時は意味の判らなかった言葉ではあるけれど、今はしっかり使えてます。余り使いたくないけど。
そのまま空白になった病室を眺める。丁度ナースステーションの目の前にある病室はそれなりに病状の重い人が眠っている。
◇◇さんも癌の末期でいつ亡くなってもおかしくは無かった。昨日日勤から帰るときは僅かに反応はあった。だから、まだ大丈夫だと思っていた。
のに。朝方亡くなってしまったらしい。
一時的に元気になって家に帰れるかもしれない、退院の許可が下りた、そんな時。病状が悪化してしまった。肺炎になってしまったのだ。その後彼女は帰れぬまま亡くなってしまった。帰るのを楽しみにしてたのに。
ぼんやりとあいてしまったベッドを見る。既に綺麗にベッドメイキングをされたベッドはもう既に次の患者さんを待っている。
寂しいなぁと、思う。
それから、その時になって、もうひとつ気がついたことがあった。
◇◇さんの前のベッドも空いているのだ。
あれ? と、思う。
あそこにいたのは誰だっけ??
少しの間考える。そしてすぐに思い出した。先日胃廔のオペをした○×さんではないか。
ということは、先程見た看板の○×さんとは、彼女のことか。
いや、まて。先日オペしたばかりで、昨日だっていつもと変わりなく経管栄養の食事をしていたではないか。
思わず傍にいた日勤のNSに尋ねる。
「○×さんどうしたの? どっか移動したの?」
多分部屋移動したのだと思いたかったのかもしれない。
が。
「昨日の夜、吐いちゃって容態変わっちゃったみたいだよ」
との事。
日報を確認しても、「永眠」と書いてある。
逝っちゃったか。
寂しく思った。切ない。
人の死は未だ慣れない。慣れたくも無いけれど。
そんなことを思いつつ、仕事へ意識を戻す。
そんな日々。
帰りは別の明るい道を通って帰ったので看板を見ることは無かった。
いつだかも先日なくなった患者さんの名前を看板で見てドキッとした。
安らかに眠ってくれることを祈るばかりです。
画像は家から見える桜の枝です。
まだ蕾は固いままです~。
早く咲かないかな。